新しいリベラルの方向性~オランダ最年少首相就任、イェッテン氏

[Jeroen Mooijman / D66.nl], [CC BY-SA 4.0]

世界中で右派ポピュリズムが台頭し、伝統的なリベラル勢力が「エリートの理想論」として有権者から敬遠される中、オランダから一つの希望の光とも言えるニュースが入ってきました。

中道リベラル政党「民主66(D66)」の党首、ロブ・イェッテン氏が38歳という同国史上最年少で首相に就任したのです。

極右政党が躍進し、前政権が短期間で崩壊するという政治的混乱のなか、なぜ彼は支持を集めることができたのか。

その勝因を紐解くと、これからの世界における「新しいリベラルの戦い方」が見えてきます。

目次

1. 「道徳的な説教」から「実務と経済」へのシフト

これまで世界のリベラル層が陥りがちだった最大の罠は、気候変動や多様性といった理念を「道徳的な正しさ」として有権者に上から目線で説いてしまうことでした。

その結果、日々のインフレや生活苦にあえぐ労働者層からの反発を招いていました。

イェッテン氏は、このアプローチを根本から変えまし。

リベラルの基本理念は譲らないものの、それを「持続可能な経済成長のための投資」として語り直したのです。

急激な環境規制でビジネス界や農家を敵に回すのではなく、現実的な移行期間とセットで政策を提示することで、「この人なら経済を任せられる」という実務的な納得感を引き出した。

2. リベラルのタブーに踏み込む「現実路線」

さらに画期的だったのは、リベラルが長年避けてきた「不都合な現実」から目を背けなかったことです。

  • タブーなき移民政策  人権保護の観点から「無制限の受け入れ」に傾きがちなリベラルの姿勢を修正。深刻な住宅不足やインフラの限界を率直に認め、「社会が許容できる範囲での管理された受け入れ」という現実路線を打ち出した。これにより、極右に流れがちだった中間層の不安を見事に吸収した。
  • 地政学リスクを直視した安全保障  「平和主義・軍縮」という従来の枠組みにとらわれず、ウクライナ情勢などの厳しい国際情勢を直視。NATOの目標を満たす国防費増額を明確に支持し、「自由と民主主義を守るためには、現実的な力が必要である」と力強くアピールした。

3. 「相手への非難」ではなく「自らの解決策」を提示する

極右政党やポピュリストが、既存のシステムや対立候補を激しく攻撃することで支持を煽るのに対し、イェッテン氏は徹底して「ポジティブなキャンペーン」を展開しました。

相手を道徳的に劣っていると批判するのではなく、具体的な数値や政策パッケージに基づいた「問題解決のロードマップ」を淡々と提示し続けたのです。

混乱と分断に疲弊していたオランダの有権者にとって、彼の示す「希望、協力、解決策」は、国を安定に導くための最も安全で魅力的な選択肢として映りました。

これからのリベラルに求められる「納得感」

イェッテン新首相の誕生は、決して「理想を捨てた妥協の産物」ではありません。

高い理想を掲げながらも、それを有権者の生活不安や冷酷な国際情勢という「現実の社会基盤」にどう落とし込むかという、極めて高度な設計図を提示できた結果です。

「理想を語るだけでなく、現実的な解決策を示し、人々を納得させる」

このオランダでの成功事例は、逆風に苦しむ世界中のリベラル・中道勢力にとって、強力なロールモデルとなることでしょう。

(来間)

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