【詳細版】辺野古・普天間問題の解決に向けた修正容認案2026

約30年、混乱と分断が続く辺野古・普天間問題を解決していくために問題点の整理と「修正容認案」の提言を詳しくまとめます。「沖縄みらいWEB」は、いち沖縄メディアとして辺野古・普天間問題の現実的解決策として「修正容認案」を提言します。

長い争いと分断が終わり、沖縄の未来が少しずつ明るくなることを強く願います。

目次

辺野古・普天間問題とは

1995年に沖縄で発生した少女暴行事件をきっかけに、住宅密集地に隣接して「世界一危険」とも言われる米軍普天間基地の移設返還を目的として建設が進められている、名護市辺野古沖の新基地建設。

普天間基地
工事中の辺野古新基地

しかし現行計画には様々な問題点があり、根本解決にならない可能性が指摘されています。

現行計画の2つの問題点

改めて、現在進められている辺野古新基地計画の問題点を整理します。

①完成が疑問視される難工事と財政負担

2006年に現行計画が決まってだいぶ後の2018年に、工事海域に90mの軟弱地盤の問題が発覚しました。

そこで日本政府は沖縄県の反対を押し切って70mの砂杭を7万本打ち込むという工学的に疑問視される、世界的に例がない地盤改良工事を行っています。

日本に現存する作業船の砂杭を打つ能力限界が70m

そして当初の総事業費9,300億円からすでに約8割を消化済みなのに、砂杭の打ち込み作業が進捗率わずか約6.6%、埋め立て土砂の投入量は計画全体の約16%にとどまっています。

日本政府と沖縄の裁判問題等を除いても、予算面・進捗面の両方で工事は計画から大幅に逸脱して難航しています。

今後の工事費の高騰も加わり、最終的な総工費は約2.6兆円になると試算もあります。これは日本の財政に大きなダメージとなります。

アメリカの公的機関やシンクタンク等からも辺野古新基地建設は「工学的に確証が持てない」とする報告が相次ぎ、米軍幹部からは「普天間基地と辺野古新基地の両方を使用するべき」と主張する論文まで発表されています。

例えば、自宅の立ち退きを求められた人が「提供される新しい土地の地盤安定性は見通せない」と判断したら引っ越すでしょうか。

アメリカがそうしたリスクを知りながら、米軍を普天間基地から辺野古新基地へ移転できるでしょうか。

軟弱地盤工事の不確実性重い財政負担は現行計画の最大のリスクです。

②滑走路の短さ

辺野古新基地の滑走路は約1,800m×2本のV字滑走路で、普天間基地の約2,700mの2/3の長さしかない設計となっています。

※2本でV字型としたのは離着陸部分を陸から離すことによる騒音対策とされています

※距離や形状比較をわかりやすくしたイメージ画像

1,800mの長さの滑走路ではヘリ、オスプレイ、戦闘機までは運用できますが、有事に必要となる大型固定翼機(輸送機等)の離着陸には対応していません

そのためアメリカは「有事の際に使用する長距離滑走路の日本側による具体的選定」を普天間基地の返還条件のひとつにしています。

これは那覇空港が有力視されていますが、昨今のアメリカーイラン戦争を見てもわかる通り、民間施設を軍事利用することは直接的な攻撃目標になることを意味するので、沖縄県は強固に反対の姿勢を貫いています。

日本政府も沖縄県の反発を考慮してなのか「法的枠組みの整備」で返還条件を満たしているとしており、具体的な長距離滑走路を指定していません。

この解釈のズレが「普天間基地は返還されないのでは」という疑念を大きくする要因にもなっています。

三者に不利益をもたらす現行計画

現行計画のままでは日本政府、アメリカ、沖縄それぞれに以下の不利益をもたらします。

日本政府:完成が見通せない工事と際限の無い財政負担

完成の見通せない現行計画にすでに総事業費9,300億円の約8割を消化しており、工事の進捗率は約2割(砂杭打ち込みは6.6%)です。

今後の建設費の高騰も重なって工事費はさらに巨額となり、日本の財政を圧迫することが予想されます。

仮に完成しても「作って終わり」とはならず、メンテナンスに継続的に費用が発生することも確実視されています。

アメリカ:対アジア戦略の計画遅れ

アメリカは沖縄米軍基地を対アジア戦略の重要拠点のひとつと位置づけていますが、辺野古新基地が2030年代後半以降にしか完成しないのであれば、その意図の実現は大きく遅れます。

また、辺野古問題の長期化は日米同盟の最大の政治的摩擦要因となっており、同盟の信頼性と安定性を揺るがし続けています。

沖縄:普天間基地が返還されない

1996年に「今後5〜7年以内に普天間基地を全面返還」と合意されてから30年。辺野古新基地の完成時期は最短でも2030年代後半とされ、現在の工事ペースではさらに遅れる可能性が高く、周辺住民は騒音や事故リスクにさらされ続けます。

辺野古新基地が完成してもその他の返還条件が未達成であれば、普天間基地は返還されない可能性があります

新提案:3つの柱

この手詰まりを打破し、安全保障の現実と沖縄の負担軽減を両立させるため、以下の3つの柱からなる提案を行います。

柱1:辺野古計画の変更——「縮小・特化」への転換

現行V字案が抱える構造的問題

現在の辺野古新基地建設計画(V字案)は、1990年代〜2000年代の軍事思想に基づいて設計されたものです。そこには、普天間基地が担うすべての機能を一カ所に集約し、フルスペックの代替基地を造るという発想がありました。

しかし、この計画は大浦湾側に広がる「マヨネーズ並み」とも称される超軟弱地盤(海面下90mに達する)によって、工期の長期化と兆円単位のコスト増大が避けられない情勢となっています。完成時期は早くても2030年代後半以降とされ、それまでの間、住宅密集地にある普天間基地の危険は放置され続けます。

100点満点の代替施設を追い求めた結果、普天間の危険性がゼロ点のまま30年以上放置されている——これが現状の本質的な問題です。

具体的な設計変更——辺野古側の浅瀬エリアで完結させる

提案する設計変更は以下のとおりです。

大浦湾側の工事は完全に中止し、既に埋め立てが進行している辺野古側(南側)の浅瀬エリアのみで施設を完結させます。このエリアには大浦湾側のような超軟弱地盤は存在せず、標準的な工法で対応可能です。

現行計画(V字滑走路)のイメージ
変更案のイメージ

施設の構成は次のように簡素化します。

  • 短距離離着陸帯または大型ヘリパッド(V字の長大滑走路は不要)
  • オスプレイの駐機場・整備施設
  • 支援施設(隊舎・倉庫等)はキャンプ・シュワブ陸上部の既存施設を活用

なぜこれで運用が成り立つのか

普天間基地の日常的な運用の大部分はオスプレイとヘリコプターです。オスプレイはティルトローター機であり、垂直離着陸が可能なため、そもそも1,800mの滑走路は必要ありません。フルペイロード時でも約300〜500mの短距離離陸で運用が可能です。

つまり、オスプレイの常駐拠点として必要なのはV字滑走路ではなく、短い離着陸帯と駐機施設のみです。V字案が想定していた長大な滑走路は、オスプレイ運用にとってはオーバースペックだったと言えます。

騒音問題への対応——80点の現実解

離着陸方向は南〜南東(太平洋側)を主とする設計とします。辺野古崎の南側は太平洋に開けており、この方向への離着陸であれば住宅地上空の飛行を大幅に減らせます。

V字案が目指した「すべての離着陸経路を海上に」という100点満点の騒音対策には完全には及びませんが、普天間の現状(住宅密集地の真上を飛ぶ)と比較すれば劇的な改善です。

ここで問われるべきは次の比較です。

100点の騒音対策を追求して普天間の危険をゼロ点のまま放置するのか、 80点の騒音対策で妥協して普天間の危険を数年以内に除去するのか——

この問いに真正面から向き合う必要があります。

これは「建設中止」ではなく「戦略のアップデート」である

この転換は、反対派が主張してきた「建設中止」とは異なります。戦略環境の変化に応じた合理的な軌道修正です。

米海兵隊自身が「フォース・デザイン2030」において、大規模固定基地から分散型態勢への転換を進めています。巨大な滑走路を一カ所に造るという発想そのものが、現代の軍事ドクトリンには合わなくなっているのです。

すでに投じた約6,500億円の工事を無駄にせず活かしつつ、実現不可能な大浦湾側の工事を切り離す。これにより、普天間の危険性を数年以内に確実に除去できるというのが、この提案の核心です。

柱2:大型機の運用は既存基地のネットワーク化で対応する

「長い滑走路はどうするのか」という問いへの答え

辺野古を縮小した場合、必ず提起されるのが「有事の際にC-17などの大型輸送機が降りられなくなるのではないか」という兵站(ロジスティクス)面の懸念です。

この問題の本質は、「単一の滑走路に依存しない運用設計へと発想を切り替えられるか」という点にあります。一カ所に長大な滑走路を新設するのではなく、既存の複数の飛行場を階層的なネットワークとして運用すれば、大型機の受入れ機能は十分に確保できます。

現代の軍事ドクトリン、とりわけ米海兵隊が推進するEABO(遠征前方基地作戦)構想の核心は、まさにこの「集中から分散へ」という考え方です。中国などのミサイル技術が飛躍的に向上した現代において、すべてが揃った巨大基地は「格好の標的」でしかありません。機能を複数の拠点に分散させること自体が、抑止力の維持と残存性(サバイバビリティ)の向上に直結します。

以下では、大型機受入れ機能を担う基地を第1候補から第3候補まで階層化し、軍事的実現性の観点から整理します。

第1候補:嘉手納基地——「玉突き方式」による容量確保

最優先かつ最も実現性が高いのが、沖縄最大の米空軍拠点である嘉手納基地(滑走路約3,700m×2本)の活用です。

具体的な運用フローは次のとおりです。

第1段階:有事の際、嘉手納に所在する米空軍機の一部を、日本本土の米軍・自衛隊基地へ一時的に分散展開させます。

第2段階:これにより嘉手納の巨大な滑走路に生まれた「空き」に、海兵隊向けのC-17やKC-46などの大型機を受け入れます。

この方式の軍事的合理性は二重です。第一に、嘉手納の空軍機を分散させること自体が嘉手納の残存性を高め(標的分散)、EABOの論理そのものに合致します。第二に、普天間が担ってきた「長い滑走路」機能を、新たなインフラ投資ゼロで吸収できます。

重要なのは、これは嘉手納の空軍機を恒久的に移転するものではなく、有事における一時的な分散展開であるという点です。平時の嘉手納の運用には影響しません。

第2候補:本土の米軍基地・自衛隊基地——戦略的縦深の確保

第1候補だけに依存すれば、それ自体が新たな「集中のリスク」を生みます。そこで必要になるのが、本土の基地群を第2の受け皿として組み込むことです。

活用可能な既存インフラは豊富にあります。

米軍基地

  • 岩国基地(山口県):滑走路2,440m。既にKC-130空中給油機15機が普天間から2014年に移転完了しており、海兵隊のロジスティクス(兵站)拠点としての実績がある
  • 横田基地(東京都):滑走路3,350m。在日米軍の輸送ハブとして機能
  • 三沢基地(青森県):滑走路3,050m。日米共用運用の実績

自衛隊基地

  • 新田原基地(宮崎県):滑走路2,700m。日米共同使用が可能で、米軍機の受入れ実績あり
  • 築城基地(福岡県):滑走路2,400m。有事の米軍展開拠点に指定済み
  • 鹿屋基地(鹿児島県):P-1哨戒機運用拠点。海兵隊輸送機受入れの物理的条件を満たす

沖縄から本土までの距離(那覇〜岩国は約900km、C-17の航続距離10,000km超と比較すれば誤差の範囲)を考えれば、本土基地を沖縄有事のロジスティクス後方拠点として機能させることは、軍事的に極めて現実的です。

さらに、これらの基地をネットワークとして運用することは、戦略的縦深(Strategic Depth)の確保という観点からも重要です。沖縄の基地機能がミサイル攻撃で一時的に無力化された場合でも、本土から物資と兵員を供給し続ける二段構えが機能します。

第3候補:沖縄の民間空港——「使わないのが望ましいが排除しない」

第3候補として、沖縄の民間空港(那覇空港、下地島空港など)を有事の緊急時に限って活用する選択肢を残します。

ここで明確にしておくべき大原則があります。

民間空港の軍事利用は望ましくない。平時の計画ではこれを前提としない。

民間空港を軍事利用の前提に組み込むことは、沖縄県民の民意や経済活動(観光・物流)への配慮からも、また安全保障上の観点(民間施設が標的化されるリスク)からも避けるべきです。那覇空港は県民の生活と経済を支える基幹インフラであり、下地島空港もパイロット訓練という民生目的で整備された施設です。

それでもなお、この選択肢を完全に排除しないことには、明確な軍事的意義があります。

  1. 計画の頑健性(ロバストネス):嘉手納と本土基地が同時に攻撃・機能不全に陥るという最悪シナリオにおいて、最後の受け皿となる
  2. 抑止力の強化:潜在的敵対国から見て「攻撃しても代替手段が複数ある」という認識を持たせることが、攻撃インセンティブを下げる
  3. 有事即応性:民間空港はすでに物理的に存在する資産であり、新設コストゼロで選択肢に組み込める

言い換えれば、「平時は使わない、使う計画もない、しかし最終的な選択肢として物理的に存在する」という状態を維持すること自体が抑止力になるという論理です。

三階層ネットワークの全体像

以上を整理すると、大型機運用機能は次の三階層で確保されます。

階層拠点位置づけ使用頻度
第1候補嘉手納基地平時・有事の主たる受入れ拠点有事の初動から恒常的に
第2候補本土の米軍・自衛隊基地戦略的縦深・後方支援有事の展開拡大時
第3候補沖縄の民間空港最終的な冗長性・抑止力原則使用せず、最悪シナリオのみ

この構成の核心は、第3候補の存在が第1・第2候補の信頼性を裏打ちするという点にあります。民間空港という「使わないカード」を保持しておくことで、軍事計画全体の頑健性が担保されるのです。

普天間機能の再配分——完全な代替が可能

柱1(辺野古計画の縮小・特化)と柱2(既存基地ネットワーク化)を組み合わせることで、普天間基地が担ってきた主要機能の代替は、既存の基地インフラだけで完結します。機能ごとの再配分は以下のとおりです。

普天間の機能再配分先
オスプレイ・ヘリの日常運用縮小した辺野古の回転翼機拠点
空中給油機(KC-130)岩国基地(2014年に移転完了済み)
有事の大型輸送機受入れ三階層ネットワーク(嘉手納→本土→民間空港の順)

新たな大規模基地建設は不要であり、普天間の危険性を数年以内に確実に除去できます。

乗り越えるべき「組織の壁」と調整課題

もちろん、この構想にもクリアすべき課題はあります。

軍種間の調整:海兵隊が有事に空軍の基地(嘉手納)や航空自衛隊の基地をロジスティクス拠点として円滑に使えるのか。これは米軍内部および日米間での運用取り決めが必要です。ただし、すでに日米共同訓練の現場では類似の連携が実践されており、制度化への障壁は技術的というより組織的なものです。

民間空港利用の法的枠組み:第3候補の民間空港については、有事における使用条件・補償・住民保護を事前に法制化しておく必要があります。「使わない前提だが法的には可能」という整理が、抑止力として機能する条件です。

練度維持の設計:部隊が複数基地に分散することで、平時の訓練体系や整備サイクルをどう維持するか——これは日米共同の運用計画レベルで設計する必要があります。

「単一の完璧な基地」から「複数拠点の柔軟な運用」へ

かつての「辺野古にフルスペックの基地を造る」という計画は、冷戦終結直後の軍事思想の産物でした。一カ所に機能を集約することが効率と抑止力を最大化するという発想です。

しかし、ミサイル技術と精密打撃能力が飛躍的に向上した現代において、この発想は軍事的合理性を失っています。米軍自身が「集中から分散へ」と舵を切り、日米共同訓練でも基地ネットワークの運用実績が積み上がっています。

「オスプレイ用の小規模施設+三階層の既存基地ネットワーク」という構想は、単なる政治的妥協ではありません。それは、変化した時代の軍事ドクトリンに合わせた「戦略のアップデート」であり、沖縄の負担軽減と日米同盟の抑止力向上を同時に実現する、現実的で強力な選択肢です。

柱3:「沖縄基地負担軽減協議会」(仮称)の設置

なぜ協議会が必要か

柱1、2は辺野古・普天間という個別問題への解です。しかし、沖縄に米軍基地がある限り、基地から生じる問題——騒音、事故リスク、米軍人による事件、PFAS汚染——は残り続けます。

さらに重要なのは、世界情勢は流動的であるということです。米海兵隊がEABOへの転換を進めたように、軍事ドクトリンも国際環境も変わり続けます。今の提案が「最終解決」であるはずがなく、変化に応じて沖縄の基地負担のあり方を継続的に見直す制度的な仕組みが必要です。

加えて、辺野古計画の縮小受入れという譲歩を沖縄に求める以上、「今後も交渉を続けられる」という制度的な保障は不可欠です。「これで終わり」ではなく「ここから始まる」という構造を制度で担保することが、沖縄の信頼を得る上で最も重要な要素です。

過去の類似機関はなぜ機能しなかったか

「普天間飛行場負担軽減推進会議」のような枠組みは過去にも存在しました。しかし、議題設定権が政府側にあり、沖縄は「要望を述べる側」に固定され、協議結果に拘束力もなく、事実上の「ガス抜きの場」になっていました。新しい協議会はこの轍を踏まないための設計が求められます。

協議会の役割

① 段階的返還プロセスの進捗管理。

普天間返還の各段階が計画通りに進んでいるかを検証し、遅延があれば原因を明らかにして対応策を協議します。「約束したが検証しない」という過去30年の構造を変えるための仕組みです。

② 日米地位協定の運用改善の協議

地位協定の全面改定を一度に求めるのは現実的ではありません。しかし、環境調査へのアクセス権、事件・事故時の捜査権限、航空機の運用規制といった具体的項目について、ドイツ・イタリア・韓国など他の同盟国の地位協定と比較しながら、「他国並みの水準」を段階的に実現していくための協議を継続します。2018年には全国知事会も全会一致で地位協定改定を求めており、これは沖縄だけの問題ではありません。地位協定の改善は、日本国内の基地受入れの安定性を高めることにもつながり、米側にとってもメリットがあります。

③ 戦略環境の変化への対応

軍事ドクトリンの変化や国際情勢の変動に応じて、沖縄の基地負担のあり方を定期的に見直します。将来、さらなる負担軽減が可能な状況が生まれた場合、それを確実に実現に移すための制度です。

設計の原則

  • 沖縄県が対等な当事者として参加し、議題設定に関与できること
  • 協議内容と進捗が定期的に公開されること
  • 日米地位協定の運用改善が正式な議題に含まれること

この提案が各当事者に求めること——それぞれのメリット

この提案は、すべての当事者に「何かを譲る代わりに何かを得る」ことを求めます。以下、4つの立場から見たメリットを整理します。

日本政府のメリット

辺野古計画の縮小(過去の方針の修正)という政治的コストを払う代わりに、普天間返還の実現という、30年来動かなかった成果を得ます。

大浦湾側の軟弱地盤工事を断念することで、今後発生する数千億円〜1兆円規模の追加支出を回避できます。選択肢Cへの転換は「中止」ではなく「戦略環境の変化に応じた合理的な軌道修正」であり、過去の政権の方針を根本から否定するものではありません。

地位協定の改定については、2018年に全国知事会が全会一致で改定を求める提言を採択しており、沖縄だけの要求ではないことを根拠にできます。本土の基地所在自治体にとっても共通の課題であり、政府が取り組む政治的正当性は十分にあります。

アメリカのメリット

辺野古フル規模建設へのこだわりを手放す代わりに、日本側の基地受入れの安定性向上と、現実の安全保障環境に即した態勢の早期実現を得ます。

沖縄の反発が和らぐことは、米軍の運用にとってもプラスです。長期化した辺野古問題は日米同盟の最大の政治的摩擦要因であり、縮小案の受入れは同盟の信頼性向上につながります。

選択肢Cは米海兵隊自身の「フォース・デザイン2030」で推進されている分散型の態勢と整合しており、嘉手納玉突き方式も同じEABO構想の論理で説明できます。辺野古が完成した頃には米軍の運用構想と合わないリスクも回避できます。

地位協定の改定については、ドイツ・イタリア・韓国など他の同盟国の地位協定と比較すれば、日本の地位協定が突出して米側に有利であることは国際的に周知の事実です。「他国並み」への運用改善は国際的に見て不合理な要求ではなく、むしろ基地受入れ国の安定性を高めることで米国の戦略的利益に資するものです。

沖縄のメリット

縮小された辺野古施設の受入れという譲歩と引き換えに、普天間返還の確約と、地位協定改定による基地負担の質的改善、そして継続協議会による今後の交渉保障を得ます。

選択肢Cは、現行のV字案と比較すれば大浦湾の自然海域を守り、軟弱地盤工事に伴う環境破壊を大幅に低減できます。離着陸方向を海側に向けることで、騒音対策もV字案の80%程度の水準は確保できます。普天間の危険性を数年以内に除去できることは、30年待ち続けた宜野湾市民にとっての最大の利益です。

「基地をなくす」という最大目標はすぐには達成できませんが、「基地との共存の条件を改善する」という実質的な前進になります。そして継続協議会の設置により、将来さらなる負担軽減を求め続ける制度的保障が得られます。

反戦平和派のメリット

辺野古の縮小受入れは容認しがたい面があるかもしれません。しかし、地位協定の改定は長年の悲願であり、継続的協議会の設置によって「今後もさらなる負担軽減を求め続ける制度的保障」が得られます。

パッケージ全体として「一歩前進」と位置づける余地があります。この提案は「最終解決」ではなく「プロセスの第一歩」であり、今これを受け入れても、将来の交渉で基地撤去や一層の負担軽減を求め続ける権利は失われません。協議会の存在がそれを制度として担保します。

30年間「全か無か」の対立を続けた結果、普天間の危険は除去されず、辺野古には巨額の公費が注がれ続けています。完璧ではない一歩でも、進むことは立ち止まるよりましではないでしょうか。

おわりに:これは「最終解決」ではなく「プロセスの第一歩」

この提案は「最終解決」ではありません。沖縄の平和と豊かな暮らしの実現に向けた、プロセスの第一歩です。

30年間、この問題は「賛成か反対か」の二択で語られてきました。しかし現実の問題は、二択では解決しません。三者すべてが何かを譲り、三者すべてが何かを得る。そして「これで終わり」ではなく「ここから始める」。

沖縄戦、アメリカ統治時代、そして復帰後も続く基地負担——この歴史の重さに対して、一つの提案で「解決」を宣言することはできません。しかし、今できる最善の一歩を踏み出しつつ、歩き続ける仕組みを制度として作ることはできます。

協議会の設置は、「今これを受け入れても、将来さらなる改善を求め続ける権利は失われない」という保障です。世界情勢が変わり、軍事ドクトリンが変わり、沖縄の基地負担をさらに軽減できる機会が訪れたとき、その機会を確実に掴むための制度的な枠組みを、今のうちに作っておくことが大切だと考えます。

この提案が、立場を超えた議論の叩き台になれば幸いです。

(文/沖縄みらいWEB編集部)

👉 辺野古・普天間問題のわかりやすい全体像と解決提言を知りたい方はこちら↓

辺野古新基地建設の最新状況2026まとめ~解決への修正容認案提言

参照リンク一覧(クリックで開きます)

【1】普天間基地の返還条件(8つの条件)

沖縄県公式ホームページ「辺野古新基地建設問題の経緯」 https://www.pref.okinawa.lg.jp/heiwakichi/futenma/1017409/1017427.html

防衛省「普天間飛行場代替施設について」(8条件の公式解説) https://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/frf/index.html

【2】米国防総省の「長い滑走路」要求(2026年2月)

日経新聞「普天間返還には長い滑走路必要 米国防総省、辺野古移設に条件」(2026年2月) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN18BXC0Y6A210C2000000/

沖縄タイムス「辺野古新基地できても普天間飛行場が返還されない?」(2026年2月) https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1776549

【3】辺野古工事の進捗・予算データ

しんぶん赤旗「辺野古軟弱地盤改良工事の進捗率6.6%」(2026年2月) https://www.jcp.or.jp/akahata/aik25/2026-02-14/2026021401_01_0.php

しんぶん赤旗「辺野古予算執行状況」(2025年9月) https://www.jcp.or.jp/akahata/aik25/2025-09-07/2025090702_02_0.html

沖縄県「普天間飛行場代替施設建設事業に係る県の考え方」(工事費高騰データ含む) https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/017/415/henoko_kennnokangae.pdf

【4】米側からの辺野古計画への疑問視

CSIS(戦略国際問題研究所)「U.S. Military Forces in FY 2021: Marine Corps」(マーク・カンシアン論文、2020年11月) https://www.csis.org/analysis/us-military-forces-fy-2021-marine-corps ※辺野古プロジェクトの完成可能性に疑問を呈した重要資料

米議会調査局(CRS)報告書データベース https://crsreports.congress.gov/ ※「Okinawa Futenma Henoko」で検索

米政府監査院(GAO)データベース https://www.gao.gov/ ※「Futenma Replacement Facility」で検索

琉球新報(英語版)「Washington is concerned by Henoko plans」(2020年7月) https://english.ryukyushimpo.jp/2020/07/05/32352/

米下院NDAA FY2021関連資料 https://www.congress.gov/bill/116th-congress/house-bill/6395/text

【5】米海兵隊のEABO構想・フォース・デザイン2030

笹川平和財団「米海兵隊の作戦構想転換と日本の南西地域防衛」 https://www.spf.org/iina/articles/yamaguchi_03.html

海洋国防アカデミー「敵地に飛び込む?米海兵隊のEABO構想と自衛隊への影響」 https://kaiyoukokubou.jp/2023/05/21/eabo/

【6】条件③(新田原・築城基地の施設整備)

防衛省「普天間飛行場代替施設について」(条件③の達成状況を明記) https://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/frf/index.html ※「築城基地の滑走路延長を除き施設整備を完了」の記述あり

【7】イランによる周辺国米軍基地への攻撃(2026年2月)

Yahoo!ニュース(高橋浩祐)「イランの報復攻撃の中、中東の米軍基地で何が起こっているのか」 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/34b23b570a392c22edf87023750328e7339f56d7

Yahoo!ニュース(六辻彰二)「アラブ諸国が『無謀』と批判してもイランが周辺国にある米国施設をあえて標的にする本当の理由」 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c32b5bb1bcdb04063dedc881c603b920735d6349

Business Insider「アメリカとイスラエルから攻撃を受けたイランのドローン基地、海軍施設、レーダーシステム」 https://www.businessinsider.jp/article/2603-satellite-images-destruction-iran-drone-bases-naval-facilities-radars-stations/

時事通信「イラン情勢 関連ニュース」 https://www.jiji.com/jc/v7?id=201905iran

日本国際問題研究所「米国・イスラエルによるイラン攻撃と中東秩序の再編」(2026年3月) https://www.jiia.or.jp/jpn/report/2026/03/strategic_comment_2026-8.html

外務省 海外安全ホームページ「イランへの攻撃に伴う注意喚起」 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2026C017.html

【8】日米地位協定・全国知事会の提言

全国知事会「日米地位協定の見直しに関する提言」(2018年7月採択) http://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/2/300727teigen.pdf

布施祐仁「日米地位協定の諸問題」関連記事 https://yujinfuse.theletter.jp/posts/605cf2ce-22c1-4533-8019-36db2843128b

【9】普天間の危険性・返還合意の原点

QAB琉球朝日放送「普天間返還合意から28年〜動かぬ基地〜」 https://www.qab.co.jp/news/20240411207989.html

宜野湾市「まちのど真ん中にある普天間飛行場 ―返還合意の原点は危険性の除去と基地負担の軽減―」 https://www.city.ginowan.lg.jp/material/files/group/36/panfu.pdf

【10】南西諸島への自衛隊配備・EABO関連

防衛省『令和6年版防衛白書』南西防衛体制の強化 http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2024/html/nc017000.html

国会答弁「南西諸島に配置された陸自部隊と米海兵隊新部隊に関する質問と答弁」 https://j-defense.ikaros.jp/docs/mod/002430.html

【11】辺野古代替施設の変遷(5つの案)

沖縄タイムス「なぜ辺野古の滑走路はV字形? 政府『集落上空を回避』」 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/386459

衆議院「普天間飛行場の移設先をキャンプ・シュワブ『沿岸案』とする日米両政府の合意等に関する質問主意書」 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a163037.htm

【12】イランの核施設攻撃(背景情報)

Wikipedia「イランの核施設へのアメリカの攻撃」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%A0%B8%E6%96%BD%E8%A8%AD%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AE%E6%94%BB%E6%92%83

【13】普天間基地・基地移設問題の全般的背景

Wikipedia「普天間飛行場」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%AE%E5%A4%A9%E9%96%93%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E5%A0%B4

Wikipedia「普天間基地移設問題」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%AE%E5%A4%A9%E9%96%93%E5%9F%BA%E5%9C%B0%E7%A7%BB%E8%A8%AD%E5%95%8F%E9%A1%8C

Wikipedia「キャンプ・シュワブ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AF%E3%83%96

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